忍者ブログ
ぐだぐだな日記&小説の作成状況
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
フリーエリア
最新コメント
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
麗吹
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
P R
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


暗闇でも見える君 ②


「君の後ろから迫ったイノケンティウスに気をとられていたから、攻撃が当たったんだろうね。」
病院へ行く途中、ステイルはそう言っていた。
とりあえず、お嬢様はアンチスキルに任せて、当麻達は目を見てもらうために、いつもの病院へと向かう事にしたのだ。
当麻の右手首は、ステイルの左手に掴まれていた。
「だよな、まさか当たるとは思ってなかったし。」
そう気軽に返すが、意識の半分はステイルの手に向かっていた。
人より体温が低く、手は冷たいと思っていた。
そんなイメージを持っていた。
しかし、ステイルの手は暖かかった。
夏だからか、少しだけ汗ばんだ感触があるが、不快ではない程度だ。
ゴツゴツとしたシルバーリングが、正直痛い。
しかし、掴んでいてもらわないと、何かに躓き、転びそうだし、道も分からない。
「君の右手で治らないって事は、化学薬品か・・・。」
ステイルが不安そうに呟く。
一応、治るかと思い、右手で目に触れてみたのだ。
だが、暗闇は消えず、目は見えないままだった。
「・・・治るかな~。」
もし、一生このままだと思うと、最悪だ。
もう大切な人を守れない。
「まさか、あんな攻撃に出ると思わなかったからね。・・・対応が遅れたよ。」
チッと、ステイルの口から舌打ちが漏れた。
「仕方がねーって。それに、結果的には倒せたんだから、いいじゃねーか。」
「だがっ・・・。」
不意に大きな声に当麻は思わず立ち止まる。
「・・・何でもない。」
しかし、言葉の先を言わずに、ステイルは歩きだしてしまった。
仕方がなく当麻も歩きだした。
ステイルの歩調はとても、ゆっくりで、歩きやすかった。
さりげなく段差も避けてくれる。
ぶつかりそう、信号が赤、など、ぶっきら棒にだが、ちゃんと注意してくれる。
そんなステイルの優しさに、ふと思った。
嫌っている人間にこれ程優しいのだから、好きな人にはどれだけ優しいのだろうか。
インデックスとステイルのやり取りを思い出して、なぜか、少しだけ、インデックスが羨ましいと思ってしまった。



「2・3日で治るよ。」
カエル顔の医者はあっさりと言った。
そして、そのまま帰されてしまった。
「ほっ、とはしたけど・・・どうするかなー、2・3日も。」
学校は不幸な事故で目が見えなくなったとでも言えばなんとかなる。
しかし、普段の生活が一苦労だ。
インデックスに頼るとしても、トイレや風呂は無理だろう。
土御門や、青髪ピアスとかには死んでも頼みたくない。
「・・・・・・。」
当麻は、自分の右手首に意識を向けた。
ステイルの手が、ある。
彼に頼もうかと思ったが、すぐに、無理だと否定する。
たぶん、明日にでも、彼は、イギリスに帰ってしまう。
「・・・上条当麻。」
不意に呼ばれて、当麻は慌てて声が聞こえた方へと顔を向けた。
だが、彼の顔は見えない。
「今回の事件は長引くと思って、後2・3日ここに滞在する予定だったんだ。」
「え・・・。」
耳を疑った。
「君の目には、僕も責任の一端はあるからね。仕方がないから、助けてあげるよ。」
「あ・・・お願い、します・・・。」
ステイルが、こんな事を言ってくれるとは思わなかったから。
「何で、そんなにしどろもどろ何だい?」
ステイルの怪訝そうな声に、当麻は慌てて言い訳をする。
「いや、だって、珍しくステイルが優しいから・・・。」
「ただの、責任取りだ。別に優しさからの行動じゃない。」
少し早口のステイルの言葉。
当麻は目が見えない事をいい事に、ステイルの表情を勝手に想像していた。
少し、照れくさそうに頬を染めていたら、いいな。
不意に、自動ドアの音がして、空気がひんやりとしたものに変わった。
「じゃあ、荷物を取ってきて、チェックアウトしてくるから、待っていてくれ。」
そう言われると同時に、トン、と押されて、椅子に座らされた。
どうやら、ここはホテルのロビーのようだ。
(最初から、俺の生活を手伝ってくれるつもりだったんだな・・・。)
でないと、当麻の寮と方向が違うホテルがある学区には、こうもすぐには着かない。
(・・・勘違いしそうだ・・・。)
ステイルと仲良くなれたと。
良い友達になれたと。
(でも・・・ステイルは俺の事が、嫌いなんだろうな~。)
インデックスの横。
それは、かつて、ステイルがいた場所。
奪ってしまった当麻を憎むのは当たり前。
優しくしてくれるのは、当麻の目の責任がステイルにもあるらしいから。
それがなければ、こんなにも優しくしてくれないだろう。
(・・・少しだけ、敵に感謝かな。)
「上条当麻、行くぞ。」
声をかけられ、また右手を掴まれる。
当麻は立ち上がり、歩き出した。
「ステイル、2・3日、よろしくな。」
そう言えば、言ってなかったと、当麻は伝えた。
「責任の分だけは働くよ。」
ステイルが無愛想に言う。
それでも、当麻には嬉しかった。
 

拍手[1回]

PR
Comment
name
title
color
e-mail
URL
comment
pass
Trackback
Trackback URL:
[93] [92] [91] [90] [89] [88] [87] [86] [85] [84] [83]
忍者ブログ [PR]