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「・・・ん。」
小さな声に、ふと目が覚めた。
すぐ近くに当麻の顔があり、思わず仰け反る。
どうやら、彼の寝相は悪いようで、隣の布団からこちらまで転がってきたようだ。
気付いたら、同じ布団で寝ていた。
どうしようかと思い、一応起き上がる。
寝ぼけていた目と頭がすっきりとすると、ステイルはある事実に気がついた。
今、自分が寝ているのは、自分用に出してもらった布団ではない事に。
「~~~っ!?」
ステイルの顔が一気に赤くなる。
寝相が悪いのは、当麻ではなく自分だったようだ。
気恥ずかしさに、ステイルは逃げるような早さで自分の布団に戻る。
これがベッドだったならば、寝相が悪い者は床に落ちて終わりだというのに。
そう栓のない事を考えながら、ステイルは再び布団を被って目を閉じた。
だが・・・。
「眠れない・・・。」
さっきの事で完璧に目と頭が冴えてしまったようだ。
ピザを食べ終わり、また少し課題をして、いい時間だからと交互に風呂へと入り、2人はそれぞれの布団へと潜り込んだ。
なぜかベッドがあるというのに、2人とも布団で寝ているかというよ、家主と客、どちらがベッドを使うかで揉めたからである。
一歩も引かない2人は妥協案として、2人とも布団で眠る事になったのだ。
その、布団へと入った瞬間は長旅と戦闘の疲れで5分と経たずに眠れたのに、今は一向に眠気がやってこない。
ちらりと当麻を見れば、羨ましいぐらいに気持ち良さそうに寝ていた。
何か悪戯をしてやろうかと思い、起き上がり、当麻へと近づいた。
「・・・当麻?」
小さく呼びかけるが、彼は眠ったままだった。
今なら、何をしても起きない気がする。
そんな自信を元にステイルは手近に悪戯に使えるものはないかと辺りを見回す。
あいにくと、見つからなかった。
ではどうしようかと、改めて当麻の顔を見る。
小さな欲望が不意に湧きあがった。
今日の午前中も考えていた事。
当麻を少しだが独占しているという優越感。
こんなにも無防備な寝顔を自分にだけ、当麻は晒しているのだ。
今なら、彼を殺すことだって何だってできる。
そして、こんな事も。
「・・・。」
ステイルは髪が当麻の顔にかからないよう気をつけながら、彼の顔へと自分のを近づけた。
そして、音もなくキスをする。
「・・・君を独占したい。」
それは、好きだから。
気付いてしまった。
いつの間にか他の者たち同様、自分も当麻に惹かれていた事に。
「だけど・・・。」
君にとっては、僕はインデックス以外だろう?
他の者と同じように。

だから、あと二日だけ、君を独占させて。

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